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監督 アレクサンドル・ロゴシュキン


出演 アンニ=クリスティーナ・ユーソ (アンニ・サーミ人)

    ヴィッレ・ハーパサロ (ヴェイッコ・フィンランド人)

    ヴィクトル・ブィチコフ (イワン・ロシア人)



『言葉は通じなくても、心は通え合える』
物語
 第二次大戦末期のラップランド。フィンランド軍狙撃兵の
ヴェイッコは平和主義者。それが問題となり敵であるドイツ
軍の軍服を着せられ鎖でつながれ置き去りにされる。

 ロシア軍人イワンは反逆罪で連行中、味方の誤爆で重傷を
負ってしまう。近くを通りかかったサーミ人アンニは一人
生き残った彼を手当てするために家へ連れて帰る。

 そんなアンニの家に鎖をなんとかはずしたヴェイッコが
やってくる。

 イワンもヴェイッコも訳ありの身、しばらくアンニの家で
ほとぼりが冷めるまで厄介になる事に。

 言葉の通じない3人の男女の奇妙な共同生活が始まった…


感想
 最初に言っておきますが副題の妖精は出てこないし、紅一点の
アンニはおばちゃん風ですから。(それも段々とかわいらしく
見えてくるから不思議)
 でも、大人3人の心の交流はファンタジーの一種かも。

 アンニはサーミ語、ヴェイッコはフィンランド語、イワンは
ロシア語しか理解できない。何を言いたいかは身振り手振りや
物を指差したりで最初は苦労する。

 ただ自分が言おうとした言葉が相手に理解されたと思ったら
全然違ってもその違ったこともわからない。それでヘンな
名前で呼ばれちゃったりする。

 男性二人が紳士的でたぶん戦争の最中あっちの方もごぶさた
だと思うのにアンニに手を出そうとはしない。逆に戦争未亡人
であるアンニが若い方のヴェイッコに欲情したり…。

 イワンはアンニに好意をよせていたから、アンニとヴェイッコ
の関係に嫉妬するけれど自分に興味ない事は知っているから
見守るしかない。

 だけど、ロシア人のイワンにとってはヴェイッコは敵の
兵士…だと思い込んでいる。ヴェイッコはドイツの軍服を
着ていたから。

 それでも3人の暮らしは戦争の最中とは思えないほど平和で
心地いいものになってくる。このままでもいいのかもしれない
と思い始めたときに別れの時はやってくる。

 言葉の行き違いの面白さはそこかしこに感じられ、ドイツ
軍だと勘違いされても言葉が通じないからいつまでたっても
ヴェイッコはイワンの敵、それでも友情は育っていくのだ
けれど。

 ラストシーンはとても微笑ましいです。去っていった
男たち、だけどアンニは別の物を手に入れた…。

 そういえば「バベル」は”言葉の通じない”事による
悲劇を描いた映画だったような。
(まだ観ていないので解説を読んだ感想ですが)

 だったらこの「ククーシュカ」はポジティブ版の
「バベル」かもしれません。テーマは同じでもこっちは
喜劇や癒しの要素がいっぱいでなんとなく幸せな気分に
なりますから。   

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