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『二人の天才の対決。それはある殺人事件から
始まった』

gari
監督:西谷弘   原作:東野圭吾

あらすじ
 貝塚北署の内海刑事(柴咲コウ)は今日もまた事件解決のヒントを
得る為ガリレオこと物理学者湯川(福山雅治)の大規模な実験に付き
合っていた。

 一方母と娘の二人暮らしを慎ましくも楽しく過ごしていた花岡靖子
松雪泰子)の自宅を元夫がかぎつけ復縁を無理やり迫り、暴力を
ふるいだす。靖子と娘は自分たちを守る為にコードで元夫を絞め殺して
しまう。

 そして空地で顔をつぶされ指紋を焼かれた身元不明の死体が発見
される。ほどなくそれは靖子の元夫だと判明。容疑者として靖子が
疑われるがアリバイは完璧なものだった。

 捜査に行き詰った内海は湯川にアドバイスを求めるが興味を示さない。
が、ある名前を聞いた時湯川は「彼は僕の知る中で本当の天才だ」と
内海に告げる。

 それは靖子の隣人である高校教師の石神(堤真一)だった…


 ドラマ「ガリレオ」も見ていましたが、同じキャストが演じるこの
映画はドラマでの軽快さよりも重厚でドラマ性のある心に染みる
作品でした。

 人気のある原作の映像化はファンにとっては複雑な気持ちになる事が
多い中、映画「容疑者Xの献身」はかなりの高評価のようです。もちろん
原作を読んでいない人もドラマとは違った世界観を持つこの映画には
大満足のようです。

 推理物では犯人は誰か?が興味の対象ですが、これは最初から殺人
シーンを見せてしまっています。そして犯人が誰かは観客の誰もが
わかっています。

 なのに崩せないアリバイ。それは何故なのか?どんな方法で完璧な
アリバイを作る事ができたのか?

 天才数学者である石神が警察の裏をかいて、靖子たちに指示をする。
面白い事に警察は石神の筋書き通りにアリバイ崩しにかかってくる。

 そしてもう一人の天才湯川は天才がゆえに石神が犯罪に手を貸して
いる事がわかってしまい、苦悩する。ドラマでは何者にも動じない
クールさを持っていた湯川が見せる人間的な弱さ。

 その弱さを知ってしまい恋愛感情とは別な母性のような温かさで
彼の苦しみを癒そうとする内海刑事。ドラマでは湯川に翻弄されて
いた彼女が幾多の事件を経て女性としても成長しているんだと感じ
ました。

 この映画のテーマは”献身的な愛”。

 なのに石神が靖子たち親子に協力するのが愛ではなく、自分の頭脳
に挑戦しているのだとばかり思っていました。数学の天才と呼ばれた
男が今ではしがない高校教師で生徒は授業さえ聞いていない。

 その自分の頭脳を試せるチャンスが靖子たちが起こした殺人。自分の
思う通りに動く靖子を駒にしているものとばかり…。

 湯川に対して「君は若いな」と告げる石神に数学しか興味のなかった
男の変化をかぎとった湯川。だから靖子に協力しているのだと。

 薄い壁ごしに聞こえる靖子と娘の生活音。明るく楽しげなそれは
石神にとって家族の疑似体験をできる幸せな空間。彼の愛情は親子
二人に注がれていたのではないでしょうか。

 ラストで号泣する石神、エンドロールで流れるKOH+の「最愛」、
そして事件の本当の終わりを告げるようなシーン。涙があふれて
心が痛くなりました。

 ”愛”を知って、”愛”する人たちを守ろうとした石神の行動は
決して許されるものではないけれど、彼はそれだけの犠牲を払っても
”愛”が成就できなくても、幸せだったんでしょうね。

 もちろんサスペンス映画の醍醐味、「あっ」と驚くドンデン返しも
ありますよ。これは全く予想できませんでした。

 うそをつくといつかバレてしまうけど、真実ならどうやっても
崩せない。それが完璧なアリバイが成立した理由。

 見終わった後も石神や湯川の心情などいろいろと考えてしまう
映画でした。

 今やっている東野さん原作の「流星の絆」も悲しい過去を背負い
つつも脚本クドカンなので小ネタやギャグが散りばめられた面白い
ドラマです。ただ、これは原作に忠実でないので原作ファンからは
厳しい意見が多いです。

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『ある事情でお蔵入りしたドキュメンタリーです…』

B0019M5GF2放送禁止6 デスリミット
ポニーキャニオン 2008-08-20

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あらすじ
 夫からDVの被害を受けている夫婦のドキュメンタリー。

 やらせはしないがモットーのジャーナリスト古茂田の元にDVに悩む
妻からの手紙が届く。興味を持った彼は妻まつにインタビューをし、
DVの映像を撮らせて欲しいと頼む。

 居間に隠しカメラをセットし、夫婦の日常風景を外の車の中から監視
する古茂田。案の定、ちょっとした事に腹を立てた夫とつおは妻に
暴力を振るい出す。

 毎日のように繰り返されるDV。夫を怒らせないように脅えた
生活をする妻。

 ある日、夫がケガをして帰宅ししばらく休職すると言う。日中の
家事をこなす妻を見ていた夫は変わり始める。そしてDVがなくなる。

 このままでは刺激が足りないと思ったのか古茂田は妻にわざと夫を
怒らせて欲しい電話をする。そして再びDVの生活。

 妻は古茂田に告白する「あのケガは復讐サイトにメールをしたのが
原因かもしれない」と。夫が殺されるかもしれないと妻はサイトに
断りのメールをしたが返信はいまだにない。

 復讐サイトから計画実行の知らせが届く。古茂田はいざとなったら
自分が助けに入るからと数日間夫を監視する。が、なにも起こらない
まま約束の日がすぎようとしていた…
 
B000G1T48C放送禁止2 ある呪われた大家族
心霊
ポニーキャニオン 2006-08-25

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あらすじ
 夫婦と7人の子供たちの大家族、浦さん一家を追ったドキュメンタリー。

 父はハシゴから落ちたケガで今は無職。母が働き家計を支えている。
長女は大学の薬学部を目指し勉強中。長男は野球少年で毎日練習に励んで
いる。

 朝は家族揃ってのラジオ体操。そして朝食には父だけ毎日好物の
牛肉の佃煮が出る。猫のエンリケもそのおこぼれをもらっている。

 毎日が笑いで満ちている家族にも不幸はあった。3年前に三男が
川で溺死したのだ。そして、その時から不幸な事件の前になると
不気味な鳥居の写真が郵便受けに入っているのだ。

 ある日長女が深夜まで勉強していた為ラジオ体操に出られなかった。
朝食途中いきなり激怒し長女を奥の部屋で折檻する父。誰もそれを
止められずただ早く終わってくれるのを待つだけ。

 再び何かの前兆のように届いた鳥居の写真。祈祷師を呼びお祓いを
してもらった家族は心から安堵する。

 久しぶりに家族揃ってピクニックに出かける浦さん一家。が、それから
数日たった頃ある不幸が一家に起こっていた事を知るのである…


 これ深夜知らないで見てしまったら下手なホラー見るよりゾッと
した事でしょう。本物のドキュメンタリー番組みたいですからね。
(あくまで「放送禁止」はフェイクドキュメンタリーです)
 
 ラストに明かされる真実に驚き、それまでにいくつも真実につながる
伏線があったことに気付かされもう一度確認の意味で見たくなる。

 フジテレビ製作の「放送禁止」シリーズは6本あり、「デスリミット」
の続きともいえる映画版も公開。残念ながら地元では上映予定なし。

 同じフジテレビの「トリハダ」ってホラードラマも深夜だからめちゃ
怖かったの覚えてる。調べたら「トリハダ」の第4弾が10月に放送
予定だそうです。が、地方だからきっと忘れた頃に放送されるんだろうな。

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B000G1T47S放送禁止 DVD封印BOX
心霊
ポニーキャニオン 2006-08-25

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B000XFGI8Kお茶の間トランスフォーメーション ザ・ムービー
川村ゆきえ, 森本レオ
ジェネオン エンタテインメント 2007-12-19

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 ハリウッドの「トランスフォーマー」はもちろん観ましたよ。童貞
ぼうやがイケてる彼女とトランスフォームする生命体をGETする
話でしたよね。…えっ、ちょっと違う?

 スカパーで見たアニメが、んん??って絵だったので、期待しないで
観たからあの迫力はスゴかった特にカシャン!カシャン!ってトランス
フォームするシーンなんて、気持ちいい~~
 さすがスピルバーグ…じゃない、マイケル・ベイでしたね。

 さて、この和製トランスフォーマーとも言える…言っちゃいけない
かも…の「お茶の間トランスフォーメーション」
 とってもチープなB級映画なので、それを許せるもしくは楽しめる、
そんな人向けの映画となっております

 トランスフォームするのは身近にある電気製品。デジカメやリモコン、
扇風機など。人が席を離れたり、よそ見をした時にこっそりとトランス
フォームしています。
(携帯電話のトランスフォームは昔アニメでやっていた「ゴールド
ライタン」を思い出しました。あれはライターでしたねって古いですか?)


 森本レオによる省エネ問題の解説後にはちゃんとメカたちによる
メッセージがこめられています。社会派じゃん!!
 冷房は下げすぎないように、とか水は出しっぱなしにしないように、
とか、デンコちゃんが言いそうな事ですね
(部屋を離れる時にはエアコンやTVは消しましょう!!)

 最初と最後に出てくるデジカメが人間ぽい行動をします。まず、向かい
の部屋で着替える女性を覗き見し、もっと見ようと前に出て窓から落ちて
しまいます。そして、再び着替える人物発見。今度は上手い事覗きは
成功するかと思ったら…
(このエロデジカメ野郎がっ!!)

 ファミコン本体はソフトにフーッと息を吹きかけてゲームできるように
してくれたり、ベープマットは移動しながら虫にレーザーを発射して殺虫
完了してくれます。
 メカたちはとても親切です

 そして18歳以上の方には映像特典として「大人のトランスフォーメー
ション」
のおまけつき。監督は「日本以外全部沈没」の河崎実監督です。
(「日本以外~」もチープでブラックジョーク満載の面白映画でしたなぁ)

 「大人の~」ではインフォメーションで”性的表現があるので子供や
不快に感じる女性は見ないで下さい
” とありましたが全然OKでした。
 ただ音量は小さくした方がいいかもしれません。
(あっ、女性はもしかしたらアレ(ある器具)がダメって事か?)

 時間が50分ととても短い映画なので時間が空いた時にちょっと観て
みようか、ってのに最適です。
 戦車になるノートパソコンが欲しいよ~~!!
 
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『幽霊と宇宙人をテーマにした短編2本立て、笑えます』

B000N8UVD0幽霊VS宇宙人 1
清水崇 豊島圭介
キングレコード 2007-06-06

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「怪談 こっちを見ないで」  監督:清水崇(呪怨シリーズ)

あらすじ
 怖がりのくせに怪奇特集のTVを見ていた秀一。近所で通夜がある
為母親が外出していて家にはひとりきり。

 知らないうちに貼られていた”こっちを見ないで”の張り紙。それは
ファックスやなぜかトイレットペーパーにも書かれていた。そして、
トイレで遂に女幽霊と対面してしまうのだった…


「ぼくの宇宙人」  監督:豊島圭介(ユメ十夜

あらすじ
 ”ベントラーベントラー”と河原でUFOを真剣に呼び出そうとして
いるバカップル。ビルの屋上で飛び降り自殺をしようとした時に空から
落ちてきたトランクの中身に愛おしさを感じる主婦。そして謎の黒服の
男女。ついでに怪しげなフラメンコ教室の男女。

 トランクの中身はなんと宇宙人の子供だった。(トランクは保育器
らしい)子供を巡ってご近所規模の争奪戦が繰り広げられるのだった…


 レンタル店で手招きされました、「わたしを借りて…」と

 そういえば「幽霊VS宇宙人」って何かの映画雑誌で読んだ事ある
ような気がします。「映画秘宝」「この映画がすごい」あたりだと思う
のですが…。「ロードショー」でないのは確かです

 ジャケ写のいかす女幽霊に惹かれたのと清水監督の描くホラーコメディ
ってのに興味津々になりました。チープな映画なのでB級以下の映画や
お笑い好きな人なら好意的に観てもらえるでしょう。
(レンタルのジャケ写は怖くないです。むしろコメディ色強し)

 まずその清水監督の「こっちを見ないで…」。白塗り白装束のいかにも
幽霊って姿に笑えます。頭や口から血をダラダラ流すけど、笑えます。
それをいちいち拭いたりタオルを手渡す主人公も笑えます。

 「恋人に頭を殴られて殺されたの…」と言うと都合よく頭から血が
流れたり、主人公からつっこみを入れられると口からドボドボ血を
吐き出したり、なんとも都合のいい女幽霊。

 「だったら恋人の所に出てやればいいじゃん」と女幽霊の身の上
話をビール片手に聞いてしまう怖がりのくせに人のよい秀一。

 この二人の会話がゆるい空気の中展開。でもちゃんとホラーらしい
オチがついています。呪怨のあの声も聞けますよ。

 そして「ぼくの宇宙人」。豊島監督って地元出身なんですね、初めて
知った。ちなみに「リング」の原作者鈴木光司さんも地元出身です。

 これはねぇ、宇宙人の子供はシルエットのみです。さすが低予算!
上手い具合にトランクやベビー服で隠されています。

 何の関係もなさそうな人たちがUFOの落し物(子供)で繋がって
いく流れが面白いです。特に捨てキャラっぽいバカップルがまさか
重要な役柄だったとは…

 トランクを拾った主婦が子供が出来ない事に悩んでいて、拾った
宇宙人の子供を自分の子供として育てようとする涙もの(うそです
エピソードもあります。

 この「幽霊VS宇宙人」は二本あるので、とりあえずハズレても
いいように一本だけレンタルしてきました。が、思いのほかこの
チープな笑いが気に入ったので次回は2をレンタルしてきます。

 誰もレンタルしてなきゃいいけど…って高確率でレンタルされて
ないと思います

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『東京散歩と家族ごっこ。なんて心地いいんだろ』

B00147VJVM転々 プレミアム・エディション
小泉今日子, オダギリ ジョー, 岸部一徳, 岩松了, 三木聡
ジェネオン エンタテインメント 2008-04-23

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監督:三木聡(「時効警察」「イン・ザ・プール」

あらすじ
 大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)。借金を返すあてもなく、
途方に暮れていると借金取り福原(三浦友和)からある提案を持ちかけ
られる。

 もし自分に付き合ってくれたら100万円を渡す。しかし、付き合う
期限は目的を果たすまででどれくらいかかるかわからない。

 ヒマだし、借金も返したい文哉は福原に付き合い東京の町を男二人で
ゆっくりと歩き出す、目的地霞ヶ関まで。

 福原は妻を殺したと言い、自首するなら日本の警察のトップである
霞ヶ関だと訳の分からない信憑性のない事を言い出す。くだらない
理由だと思いつつも文哉はこの福原との東京散歩に心地よさを感じ
てくるのであった…


 いや~日本映画って本当にいいですね(水野さんに合掌)

 「時効警察」の三木聡監督だから、小ネタやら個性的な脇役が
出てくる出てくる。そんな所、楽しいぞ
 お店の看板を見逃すなっ。正確時計店、あぶどら肉店、スナック時効、
アワヤマンション
など。

 主要な二人文哉と福原(名前が愛一郎って…笑える)がまぁなんとも
むさくるしい頭の男たち。セリフもとぼけている。

 「OLはなんで財布を上に向けて持つのか」

 「焚き火に当たっているおじさんはなぜ下半身をさわるのか」

 「岸部一徳を見るといいことがあるらしい」
(もちろん本人出演)

 この二人に負けていない脇役たちが福原の妻のパート先の従業員たち。
「時効警察」でもお馴染み岩松了、ふせえりに加え松重豊。

 「国松さんの頭皮匂うのよね。どこかで嗅いだ匂いなのよ」

 「ああ、これ崖の匂いですよっ」


 崖の匂いってどんなだよぉ~~
 気になると言えば、ジョン・マルコヴィッチ似のゆみちゃん。
想像したら、怖かった…

 後半散歩の途中でお世話になるのがキョンキョン扮する麻紀子の家。
本当の親を知らない文哉はここで擬似家族体験をして懐かしいような
こそばゆいような思いになる。

 父が福原、母が麻紀子、妹が麻紀子の姪ふふみ(吉高真由子)、そして
息子文哉の4人家族。「とうさん」「かあさん」と呼ぶ事も遊園地や
動物園に行く事も幼い頃できなかった事が叶った文哉。

 最後の晩餐のカレーを泣きながら食べる文哉のつらさがこっちにも
伝わってきて同じ願いを感じました。福原には自首して欲しくないと。
 
 こんな泣けるエピソードもあり、笑いもあり、濃いキャラクターも
ありの喜哀楽がつまった映画でした。「時効警察」が苦手だった人でも
これは大丈夫だと思いますよ。

 もちろん「時効警察」ファンにはあの三日月さんの出演シーンも
ありますよ。

 ところですき焼きにマヨネーズって、ありなの??いやいや、絶対に
ないでしょ。見た目ものすごく不味そうだったよ

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 <三木聡監督の週刊真木よう子はいいっ!共演は永作ちゃんだぞ>
           

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『三人の物語は愛しくて、そして切ない…』
アヒルと鴨のコインロッカーアヒルと鴨のコインロッカー
濱田岳, 瑛太, 関めぐみ, 田村圭生, 中村義洋

アミューズソフトエンタテインメント 2008-01-25
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監督:中村義洋  原作:伊坂幸太郎

あらすじ
 仙台で一人暮らしをすることになった大学生椎名(濱田岳)。部屋の
外でボブ・ディランの”風に吹かれて”を口ずさみながら片づけを
していると隣人が声をかけてきた。

 ディランを神だと言う隣人の河崎(瑛太)。部屋に招かれ話を聞くと
彼はとんでもない提案をしてきた。

「いっしょに書店を襲わないか」

 早々に断った椎名だったが、翌日椎名は河崎と元カノ琴美(関めぐみ
そして隣の隣の住人ブータン人のドルジの奇妙な三角関係の話を聞き、
興味を覚える。

 そして、モデルガンを片手に河崎とともに書店に向かうのであった…


 切ないよ、切なすぎるよ~~

 最初の流れから人の良さそうな東京青年椎名がちょっと迷惑な隣人
河崎にいいように使われ、面白おかしい事件が起こる、コメディタッチの
映画だと思っていた。
 だって「広辞苑」が欲しい為に書店強盗とか、間違えて「広辞林」を
持ってきちゃうんだからさ。

 ところがドンデン返しがあってからの後半は前半とは全く違う様相に
なってくる。
 ある事件、言葉の違い、宗教観の違い、それが悲しい結末に向かって
進んでいく。

 河崎とブータン人のドルジは琴美を間に元彼と今彼の関係。それが
友達のようにいい関係になれたのは河崎がある病気だったからかも
しれないし、ドルジの人類みな兄弟のような考え方だったのかもしれない。

 この3人の物語が話す人によって内容が変化してくる。まるで
「藪の中」方式で映画でいうと「HERO」「羅生門」「MISTY」のよう
だと感じましたが、どうでしょうか。
 
 ドルジは言う「ブータン人は生きているものは殺せない。それは虫も
同じ
」「死ぬのは怖くない、それは自分の寿命だから
 どこかで神様はちゃんと見ているからそれは血を吸う蚊だって
殺せない。その宗教観の違いがある行動を抑制してしまい、結局
悲劇を招いてしまったのかもしれないと思うと悲しすぎます。

 ある事件を目撃してしまったドルジと琴美は犯人たちから嫌がらせを
受ける。復讐の考えのないドルジに「神様を閉じ込めてしまえばいい」と
歌の神様と崇めるボブ・ディランのCDを冷蔵庫にしまう。
 
 俳優さんもいいですね。巻き込まれるタイプぴったりの濱田岳
実は…だった瑛太(二役のような)、毅然とした女性がハマる
関めぐみ(友人曰くキツさのある元モー娘飯田香織みたいだそうです)。
 あと、松田龍平も自堕落そうな役で出ています。役名は言えませんが。

 河崎と琴美、ドルジの三人の物語に”飛び入り参加”してしまった
椎名は全てを知ってコインロッカーに神様を閉じ込める。
神様には目をつぶってもらう」そうドルジに告げ東京へ戻る。

 ロッカーの中のラジカセからはエンドレスにディランの「風に
まかせて」が流れ続けそして、結末。

 ストレートな恋愛物でなく、ここまで切なくなる映画は久しぶり
でした。涙は出ないけれど、心がズキズキ痛みました。

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     MISTY~ミスティ~

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監督:是枝裕和

出演:柳楽優弥(明/長男)

    北浦愛(京子/長女)

    韓英恵(紗希/不登校の学生)

    YOU(けい子/母親)


あらすじ
 明は母けい子と兄弟3人との5人暮らし。普通の家庭とは違っていた
のは兄弟4人の父親が違う事。それに大家やアパートの住人には明と
けい子の二人暮しだと言っていた。

 兄弟4人は学校にも通っていない。けい子は時々恋人が出来ると
数日子供たちを残して家を出てしまったりしていた。

 それでもけい子の置いていくお金で何とか暮らしていた兄弟たち。
家に戻ってきても、また男の元へ行ってしまうけい子。

 クリスマスが過ぎ正月が過ぎても帰ってこない。明がけい子の
元へ電話を掛けたとき、わかってしまった…僕たちは捨てられた
のだと。

 その事を秘密にし子供だけの暮らしを続けていたが、お金が
底をついてしまう…


 カンヌ映画祭でも話題になりました、史上最年少で男優賞獲得の
柳楽優弥。ワイドショーでも当時は大騒ぎでしたね。

 この「誰も知らない」は映画というよりもドキュメンタリーの
ように子供たちが自然です。そういう演出だったと聞いたような
気がします。

 親に捨てられ子供だけで暮らすという悲惨な状況の中、それを
泣き叫ぶでもなく、それが自分たちにとっての当たり前の日常。
そして淡々と流れていく時間。

 いつか母親は帰ってくる。いつもそうだから。

 そんな希望が虚しいことを長男だけは知っている。だけど幼い
兄弟には言えない。僕がしっかりしなければ。
 まるで父親のように兄弟を支える長男。ただ、やはり子供だから
次第に頼られる事が息苦しくなる。

 兄弟をほっといて中学生たちを家に呼びゲームに没頭。中学生たちに
してみれば口うるさい親がいない家は都合のいい遊び場だというだけの
事。決して明を友達だとは思っていない。
 
 長男のTシャツがだんだんボロボロになっていく所に時の流れを
感じます。それでも何とか4人で生きている子供たち。

 母親は母でなくただの女だった。子供の世話は長男に任せて、
お金だけを置いて男の元に走るような。
 でもYOUが演じているからなのか、フワフワした雰囲気に
長男同様「しょうがないな」と納得してしまいました。

 この映画を観た人がどんな感想を持つか興味があります。
女性だったら母親に腹が立ったりするのでしょうか。子供たちが
かわいそうだと感じる人もいるかもしれません。

 ただ、自分はそういう感情がわきませんでした。異常でも子供
たちにとっては日常の風景に観ているうちに慣れてしまったの
かもしれません。それとも冷たい人間なのかも。

 あのラストシーンの先には兄弟たちの幸せはあったんでしょうか。
それはとても気がかりです、

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『6年ぶりに復活、検事九利生公平。今回の事件は…』
 

監督:鈴木雅之

出演:木村拓哉(九利生公平)

    松たか子(雨宮舞子)

    大塚寧々(中村美鈴)

    阿部寛(芝山貢)

    勝村政信(江上達夫)

あらすじ
 東京地検に戻ってきた九利生検事(木村拓哉)は同僚芝山の代わりに
障害致死事件の裁判を担当する事になる。容疑者が犯行を認めている
この事件はすぐ終わると誰もが思っていた。

 容疑者の弁護を大物弁護士蒲生(松本幸四郎)が担当し被告が
犯行を否認していると主張。この事件の裏に政治家の贈収賄事件が
からんでいたのだ。

 事件の証拠を集める九利生と雨宮(松たか子)は被告の車を調査
する為に韓国に飛び、現地のカン刑事(イ・ビョンホン)の協力の
元車を見つけ出す。

 日本ではマスコミがこの裁判に注目し始め、証人として渦中の
政治家花岡(森田一義)が出廷する事になる…


 TVの「HERO」、毎週見ていました。型破りの検事九利生
の正義を貫く為に努力を惜しまない姿はこの映画でも健在
 彼の周りのキャラの濃すぎるお馴染みのメンバーも全員集合です。

 今回はTVのスペシャル版の続きになりますが、細かい小ネタを
気にしなければTV版を見ていない人でも充分楽しめると思います。

 肩が触れただけなのに相手を殴り、結果殺してしまうという傷害
致死事件。同時刻にあったとされる大物政治家の贈収賄事件。
 全く関係のなさそうな人物が当事者のふたつの事件が結びつくと
いう複雑さが物語を面白くさせてくれました。

 それは被告が贈収賄があった時間に他の場所で政治家を見た目撃者
となっていたからで、傷害致死で有罪になってしまうと目撃者には
なりえず結果的に贈収賄事件に政治家が関与していたとなってしまう。

 九利生を始め城西支部の人たちは協力し合い、証拠を集め始めます。
韓国に飛んだり、何百人もの人をあたり証拠を探したり。
(韓国のシーン、お腹が空いている時に見ると目の毒ですよ。すごく
美味しそうな料理がいっぱい!!)


 事件に大きいも小さいもない。

 九利生は被告にどれだけの罪を犯したのかを裁判でわかってもらい
たかった。いくらこの事件がマスコミの騒いでいる贈収賄に関わって
いようとも関係ない。

 裁判の行方と同時進行に九利生と雨宮のロマンスの行方が描かれます。
ラストには二人の結末も用意されていました。
(でもなぁ、6年間連絡なかったからって最初から最後まで他人行儀の
雨宮さん、冷たすぎじゃない??)


 ファンとしては通販ネタをからめたうれしさもあった反面、あれだけ
香水にこだわっていたのにオチは無し?と少しガッカリした所も正直あり
ました。マスターの「あるよ」が聞けたからまっいいか
(ウエストベルトに車輪がついたの、ホントにあるんですね。ワイド
ショーで偶然見かけてビックリ)


 まぁ大きな声では言えませんが、スペシャルとしてTVで放映しても
よかったかも…

 
 今後同じフジのドラマ「SP」も映画化するみたいですね。
アクションシーンを始め映画向けの派手なシーンが多くある事を期待して
います。
 「SP」、きっと真木よう子目当てで映画観に行っちゃうんだろうな…

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<もし映画版を見て興味を持ったらTV版はもっと面白いですよ>
        

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『人生急がず、たまにはたそがれてみませんか?』
  
監督:荻上直子(「かもめ食堂」

出演:小林聡美(タエコ)
  
    市川実日子(ハルナ)

    加瀬亮(ヨモギ)

    光石研(ユージ)

    もたいまさこ(サクラ)

あらすじ
 大きなトランクをかかえ、南の島へやってきたタエコはユージの
宿に宿泊する。同じ飛行機でやってきたサクラは宿の常連客の
ようだ。

 娯楽もなさそうなこの島にやってきた人の目的は”たそがれる”事
だとユージに教えられるがタエコにはピンとこない。食事はみんな
一緒にとったり、毎朝サクラがタエコに朝のあいさつをするのも
何だか居心地が悪い。

 砂浜で編み物をしたり何となく時間をつぶすタエコの元に知り合いの
ヨモギがタエコを追って島へやってくる。


 昔はネガティブイメージだっためがねですが、最近はめがね男子・
女子とイメージUPしてますね。自分もメガネ好き&メガネ使用者
なのでブームに乗っかってます

 さて映画「めがね」のお話ですが、忙しい毎日を送っているとゆっくりと
過ごす事が苦手になります。主人公タエコもそのひとり。

 都会よりも時間がゆったりと流れる島の生活。目的もなく過ごす
事もたまには必要なのかもしれません。現代は何かに追われるように
時間が急いで過ぎていきますから。

 ここにはみんな”たそがれ”に来るとユージが言う。イマイチ
”たそがれ”がわからなくて尋ねるタエコに昔の事を思ったり、
誰かの事を考えれば”たそがれ”られるみたいですよ、と。それでも
よくわからない。

 でも、次第に島の時間の流れにゆだねていくとタエコも”たそがれ”
の意味がわかってくる。どこか他人との間にあった壁も取り払われ
最後には…。

 セリフの多い映画ばかり観ているせいか「めがね」はものすごく
セリフが少ない気がします。その分、人物の表情だとか食べ物の
美味しさだとかそよ風だとかをとても感じる事ができました。

 主要登場人物は5人自分と他人の距離が島の生活に慣れるに
したがって縮まっていくタエコやそれに少しジェラシーを感じるハルナ。
島に来た途端にタエコよりも馴染んでしまうヨモギ。島と宿泊客の橋渡し
のような存在のユージ。

 そして不思議な魅力のサクラ。毎朝メルシー体操を砂浜でやり、
昼間は小さなお店でカキ氷だけをお客さんに出している。その
カキ氷代はお金ではなくお客さんの気持ちのようなもの。

 特に大きなトランクを引きずりながら道を歩くタエコに向かって
ゆっくりと三輪車(後ろに荷台のある自転車)で進んでくるシーンは
少し滑稽でいながらやさしい雰囲気のするいい場面です

 「かもめ食堂」同様美味しそうな料理も登場。朝の和定食、バーベ
キュー、ボイルした伊勢エビ、そしてサクラさんのカキ氷。そのカキ氷に
使うあずきを作るシーンがこれまた美味しそう

 カキ氷も機械でなく手で回す昔ながらのタイプ。これってホントに
雪みたいにフワッとしたカキ氷になるんですよね。子供の頃にプール
帰りに食べた駄菓子屋さんのカキ氷を思い出しました

 映画を観ている間だけでものんびりさせてくれます。バックで流れる
音楽もとってもほのぼのしています。観終わった後はホワ~と心地よい
空気になるかもしれませんよ

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『いつも隣にいたのに、素直になれなかったね…』
 

監督:石川寛

出演:宮崎あおい(17歳のユウ)

    西島秀俊(34歳のヨースケ)

    永作博美(34歳のユウ)

    瑛太(17歳のヨースケ)

    小山田サユリ(ユウの姉)
あらすじ
 高校生のユウは土手でギターを弾くヨースケの隣に座り、青い空を
眺めながら彼の同じフレーズばかりの曲を聞いていた。
 ヨースケは野球をやめ、音楽で食べていくと意気込んでいたが、
そのフレーズから先へ進まない。

 密かにヨースケに想いを寄せていたユウだったが、ヨースケはユウの
姉に関心があるらしく、姉の事ばかり聞いてくる。

 ユウはヨースケと姉の橋渡しをしようと水門での待ち合わせを
セッティングするが、そこに姉は来なかった…。

 17年後偶然再会したユウとヨースケ。懐かしさとぎこちなさを
感じる二人だったが、後日会う約束をする。が、そこにヨースケは
現れないのだった…


 すご~く淡々としてセリフも少ないし、時間がゆっくり流れていく
ので苦手な人が多そうな映画です。実際、あるサイトでは評価が低く
あるサイトでは高かったりしますから。

 それに演出方法も特殊だったらしく、キャストには設定のみ伝えて
セリフはほとんどアドリブだったそうです。

 セリフが少ないのも、間が長いのも、あおいちゃんの言い方もすごく
自然だったのも、これが理由だったんですね。観てから知りました。
 それを知った上で観ると二人の恋愛がリアルに感じると思います。

 高校生のユウとヨースケの好きだけど、口に出せないもどかしさ。
大人でない時代の恋の駆け引きなんて出来ない純粋さ。懐かしいやら
まぶしいやら、最近ではあまり見かけない恋愛。

 突然キスをしてきたユウに何も言わず立ち去ってしまうヨースケ。
笑ったり、怒ったりもせずに逃げてしまう彼にユウ同様心が痛み
ました。

 ヨースケがユウの姉の制服の事を尋ねてくれば、次の日に姉の
制服で登校するユウ。本当はヨースケの事が好きなのに…彼は
姉の事ばかり。

 特にせつなかったのは、ユウの姉がヨースケの隣に座るようになり、
ユウが知らないギターのフレーズを姉が口ずさんでいた事。自分が
知らないヨースケを姉が知っているような複雑な気持ち。

 大人になってももどかしい二人。ヨースケが事件にあった事が
きっかけでやっとお互い素直になれた二人。それまで17年も
かかってしまった。

 不器用で純粋だったから言えなかった一言。時間がたっても
その頃の後悔が今も心に残っている。だから、ヨースケのあの
言葉が重みを持ってくる。

 やっと、言えた一言。

 17歳が宮崎あおいで34歳が永作博美。このキャストは上手い
ですねぇ。どちらも丸顔の童顔、二人とも可愛らしくて好きです。

 青い空と土手の緑、風景もとてもきれいで静かさがある映画です。
学生時代に好きだと言えなくて後悔した経験のある人ならユウの
気持ちがわかって、せつなくなると思います。

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